十
十河さん (934opo11)2024/4/3 06:00削除この種の作品を書く人が世にはいるが、同人の中にもいるとは思わなかった。一読、どうしてこういう作品が出てくるのだろうと、寒々とした気持ちになった。これは創作というよりも、むしろアジテーションでありプロパガンダだ。それに物語の衣を着せたもの。
この作品も「小説」の一種である、という人もいるだろう。小説というジャンルは間口が広く、ほとんどどのような形態・志向のものも含んでしまうので。
しかし、ぼくの考えでは、これは小説ではない。小説を書くという作業は、同人みんなが知るように、いばらの道を行くようなものだ。が、その苦行に何らかの意味を見いだして、創作を続ける。
だけど、この種の作品を書くことに意味を見いだすことは困難だ。だから、これは小説ではない、とぼくは思う。
小説とは読者に、たとえば心がたがやされて豊かになり、感動し、視界が広がり、人生についてより洞察できetc.,etc.……、つまり、プラスにむかう力を、あるいは少なくともマイナスにむかわない力を、与えるものである。
この作品を読むと、残念ながら気持ちはマイナスにむかう。この意味からも、これは小説ではない、とぼくはしたい。